時事Webネット

過去には様々な事件・事故が起きている。
その事件を聞いただけで当時の時代背景が蘇るものだ。
それらの事件・事故は時には凄惨な被害を齎し、あるいは後の法律改正にまで発展するものまである。
こうした事件・事故は、単に時の重大ニュースとして取り上げるのではなく、今後の再発防止に役立てる重要なデータとして、事故原因などを精査している。
例えば飛行機事故などはその典型だろう。
ボイスレコーダーなどを解析し、事故原因を究明することが重要な作業となるのだ。
当サイトでは過去の重大な事件・事故を検証し、今後の戒めにしたいと考える次第である。

●3億円強奪事件
過去の大きな事件を語る場合、3億円事件は必ず語り継がれる事件の1つだ。
この事件は1968年12月10日、東京都府中市で起きた。
白バイ警官のモンタージュ写真は、テレビでよく放送されるのでよくご存じだろう。
この事件の注目点は、遺留品が多い事や、警察関係者が疑われている点などだろう。

この事件では、様々な人物が容疑者として浮上し、大きな話題を呼んだ。
★立川不良グループ
立川市の不良グループのリーダー格の少年が容疑者筆頭候補として取沙汰された。
少年は当時19才である。
容疑としての理由は今では考えられないくらいお粗末なものだった。
例えば、他の自動車の窃盗事件で、三角窓を割ってエンジンとスターターを直結する手口が同じとか、犯行当時にアリバイがない、父親が白バイ警官で、白バイに関する知識が豊富である。
といった具合である。
また、この少年の自宅の目撃証言として、大量のゴミを燃やしている姿も目撃されており、犯行を知った警察官である父親が、自宅の焼却炉で札束を燃やしたのではないかという噂も囁かれるようになった。
しかし、銀行に送り付けられた脅迫状にの切手に付着した唾液から、脅迫状の送り主は血液型がB型と判明していたが、この少年の血液型はA型であった。
この時点でこの少年の単独犯は否定されたわけだが、共犯の可能性も残る為、容疑者から外れる事はなかった。
この少年が今でも疑われる大きな理由が、青酸カリによる自殺があるからである。
しかも青酸カリの購入者は父親だ。
犯行を知ってしまった警察官である父親が青酸カリを飲ませたという疑いすら持ちあがり、ショッキングな話題となってお茶の間を驚かせた。
この事件は当時としてはあまりにも巨額な事件であり、現在でも度々ドラマ化されるなど、語り継がれる事件である。

★★筆者の目線★★
この事件発生当時、私自身まだ生まれて間もない1才児だったので、当然当時の記憶などない。
ただ、タレントのビートたけしが犯人役としてドラマ化されたり、本として出版されたりしたので、物心ついた頃に夢中になって読んだのを覚えている。
特に印象深いのが、最重要容疑者として注目を集める立川不良グループの少年の家族環境や事件後の不可解な死である。
一応、青酸カリを自分で飲み、自殺という事になっているが、一説によればテーブルの上にはカップが2つあったとか、自宅焼却炉で大量の何かを燃やしている姿が目撃されている。
父親は警察官という事もあり、犯行を知った父親が本人に青酸カリを飲ませたのではないか?
そういった疑念も囁かれ、いろんな意味で興味をそそる事件だった。
果たして犯人は今でも有力候補として見られているこの少年なのだろうか?
長い年月が経った今でも、興味の絶えない事件である。

●グリコ・森永事件
この事件もまた昭和の事件の象徴として語り継がれる大きな出来事だった。
この事件は1984年、関西で起きた日本市場で類を見ない事件となった。
1984年3月、江崎グリコ社長を誘拐して身代金を要求する事件が起きた。
この事件をキッカケに、森永・大丸食品・ハウス食品・不二家等、店頭に並ぶ菓子などに青酸カリを混入し、警察やマスコミに犯行声明を頻繁に出すようになった。
劇場型事件の発端となる事件であった。
グリコや森永では商品の販売の停止を余儀なくされ、人々もこれらの菓子の購入を控えるようになっていった。

・グリコ社長誘拐事件
1984年3月18日、兵庫県尼崎市の自宅において、拳銃を所持した男二人が押し入り、社長が誘拐されるという事件が発生した。
身代金の要求はあったものの、受け渡し場所に犯人が現れることはなかった。
結局グリコ社長は無事解放されたものの、終始目隠しをされていて犯人の顔は見ていなかった。

・丸大食品脅迫事件
1084年6月22日、丸大食品に1本の電話が入った。
「グリコと同じ目にあいたくなければ、5千万円用意しろ」というものだった。
金の受け渡し方法も話題を呼んだ。
国鉄高槻駅で指定する車両に乗り、途中で金の入ったボストンバッグを車内の窓から放り投げろというものだった。
捜査員が配備につくが、キツネ目の不審な男が目撃されたが、結局取り逃がした。

・ハウス食品脅迫事件
1984年11月7日、ハウス食品総務部長宅に一通の脅迫状が届く。
1億円を要求するもので、青酸ソーダ入りのハウスシチューが同胞されていた。
現金の受け渡し場所は伏見区内のレストランとして指定されており、ハウス食品の社員に扮して紛れていたが、この時もキツネ目の男が目撃されている。
しかし、捜査員は職務質問を禁止されていた為、みすみす取り逃がしてしまう結果となった。

・収束
この事件の収束は、一人の命が犠牲となった事で幕を閉じる。
ハウス食品総務部長が焼身自殺を図ったのだ。
この事件を受け、犯人側から「くいもんの会社 いびるの もうやめや」という収束宣言が送られた。
文章には、本部長の香典代わりという文言も入っていた。

★★筆者の目線★★
この事件も3億円事件同様、未解決事件として時効を迎えてしまった。
最重要容疑者であるキツネ目の男は3度も捜査員に目撃されながら、職務質問の権限を与えられていなかった事が最大の過ちだったと言わざるを得ない。
実はこのキツネ目の男、時効後にテレビ出演しており、リポーターから「犯人だったのか?」という質問を受け、「そうだとも言わないし、違うとも言わない」と言ってのけた。
さらに驚くべき噂もある。
この事件の黒幕はユダヤ金融財閥が関わっているという説だ。
同財閥が株で巨額の負債を抱え、思いついたのがグリコ・森永事件というのである。
結局犯人は身代金などを奪う事ができず、何の利益も得ていない。
むしろ、いつ捜査の手が向いてくるかという恐怖だけが残った格好である。
しかし、真の目的は違うというのだ。
グリコ・森永・ハウス食品などに空売りを仕掛け、事件を起こす。
当然、株価は大暴落する。
事実、食品メーカーの株価は連日の大暴落となったのだ。
こうすることで、株で大儲けをする事ができ、身代金1億円どころの騒ぎではない、巨額な利益を得たというから驚きだ。
これはあくまでも一つの説に過ぎない話だが、ありえない話ではない。
この話がもし事実とするならば、キツネ目の男は下っ端の人間だったのだろう。
危険な身代金受け渡し場所に姿を現し、あわよくば身代金もせしめようというセコイ人間だ。
いずれにしても、捜査員に職務質問等の権限が与えられていなかった事は、後に世間から大バッシングを浴びる事になった。
何かの刑事ドラマで、「捜査は会議室でやるのではない、現場でやるんだ!」という名セリフがあったが、まさしくその通りだと思う。
上層部の大失態が、未解決事件とさせてしまったと言って過言ではないだろう。